「うちの子、結局オンライン英会話をやめてしまいました」
体験レッスンの後、隣に座っていたお母さんが、ぽつりとそう言って、目を伏せました。膝の上で握りしめられた手は、白くなっていました。
このお母さんの言葉を聞いたとき、私は自分の胸も同じように苦しくなったんです。
私自身、子育てをしている一人の母親として、毎日のように習い事のことで悩んできました。「これでよかったのかな」「子供にプレッシャーかけすぎてないかな」と、夜中に天井を見つめた回数は、数えきれません。
そして、当教室の体験レッスンでも、同じように「やめてしまった」と肩を落とすお母さんに、毎月のようにお会いします。
そのたびに、伝えたいことがあるんです。
続かなかったのは、お子様のせいでも、あなたのせいでもないんです。続けにくい構造の中に、ご家族が置かれていただけなんです。
これは、私だけの感覚かなと思って、教室を続けながらいろんな本を読みあさってきました。すると、英語教育の研究者たちが、何十年も前から、私が現場で感じてきたことと同じことを言ってくれていたんです。
今日は、その研究者たちの言葉と、私が母親として・教室の人間として悩みながら見てきたことを、一緒にお話しさせてください。
この記事で一緒に考えること
- ✅ 「やめてしまった」の本当の原因は、お子様の意志ではないこと
- ✅ 子供の英語が伸びる「信頼関係」の正体
- ✅ 私自身が悩んでいた時期に救われた、2人の研究者の考え方
なぜ毎回違う先生だと、子供は伸びないのか
英語を話すって、子供にとって、大人が思う以上に勇気がいることなんですよね。
間違ったら笑われるかも、変な発音だったらどうしよう、先生にがっかりされたくない——子供の心の中には、目に見えないブレーキがいくつも仕掛けられている。保護者として子供を見ていて、本当にそう感じます。
このブレーキを外せるのは、たった一つ。「この先生なら大丈夫」っていう安心感。それしかないんです。
私が悩んでいたとき、救われた一つの考え方
実は、教室を続ける中で「なぜ毎回違う先生のレッスンは伸びないんだろう」と何年も悩んでいた時期がありました。直感では分かるんだけど、保護者の方に説明できる言葉が見つからなかったんです。
そのとき出会って、本当に救われた考え方があるんです。
ヴィゴツキーっていうロシアの心理学者がいて、その人が「最近接発達領域(ZPD)」っていうものを提唱しているんです。難しそうな名前なんですが、中身はシンプルで、
「子供は、信頼できる他者と一緒なら、一人ではできなかったことができるようになる」
——これだけなんです。
これを読んだとき、「あ、私が現場で見てきたことって、こういうことだったんだ」って腑に落ちました。
英語で「Hello」って声に出すのも、「I like cats」って答えるのも、子供にとっては本来一人ではできないこと。信頼できる先生が隣にいるから、できるようになる。それを毎週リセットしてしまったら、いつまで経っても育たない——そういうことだったんです。
「カルテで引き継いでいます」を聞くたびに
大手のスクールが「カルテシステムで先生同士が引き継いでいるから大丈夫」と言うのを聞くたびに、私はちょっと胸が苦しくなります。
教室を立ち上げる前、子供を連れてフィリピンへ渡り、現地で150回以上のトライアルレッスンに立ち会ってきました。そこで何度も思ったのは、紙の情報で子供の細かい機微って、どう頑張っても伝わらないということでした。
「この子は声が小さいけど、絵を描き始めると目が輝く」「フォニックスは苦手だけど、サメの単語だけは絶対に外さない」「お父さんから教わったあの一言だけは、自信を持って言える」——こういう、数字にできない情報こそが、子供を伸ばす本当の鍵なのに。
これは、システムやテクノロジーで補えるものじゃない。同じスタッフが、継続的に、一人の人間として見守る。そこでしか手に入らないものだと、強く思うんです。
なぜ「楽しいのに伸びない」が起きるのか
「うちの子、レッスン中は笑顔なんです。でも英語が話せるようになっている気がしなくて…」
このご相談も、本当によくお聞きするんです。
楽しそうにしているのに、伸びていない。これって、すごく不思議な感覚ですよね。私も最初、ずっと頭の中で「?」が並んでいました。
クラッシェン先生の本が、答えをくれました
このモヤモヤを抱えていた頃、スティーブン・クラッシェンっていう、第二言語習得研究の世界的に有名な先生の本を読んだんです。そこに、「感情フィルタ仮説」っていう考え方が書かれていました。
簡単にまとめると、人が言語を学ぶときに、不安や恐怖や自信のなさが強い状態だと、目の前の英語がどれだけ豊かでも、脳に入っていかない——っていう理論なんです。
これを読んだ瞬間、「あ、これだ!」って思いました。
子供が表面上は笑顔でも、心のどこかで「先生が毎回違って緊張する」「答えに迷ったらすぐ先生が答えを言っちゃう」「親が後ろで『ちゃんと話せ』って思ってる気がする」——こういう小さなプレッシャーを感じていると、心のフィルタが下りないんです。
そして心のフィルタが下りないと、何時間レッスンを受けても、英語が脳に入っていかない。「楽しいのに伸びない」の正体は、これだったんだって、目から鱗が落ちました。
「ふざける」「ぐずる」も、サインなんですね
長く現場で見てきて、ひとつ確信していることがあります。
レッスン中にふざけたり、ぐずって画面から逃げたりする子は、英語が嫌いなんじゃないんです。心が閉じてしまっただけ。
「集中しなさい」と叱ってしまいたくなる場面、保護者ならよくありますよね。でも、クラッシェン先生の感情フィルタの話を知ってからは、「あ、今、心が閉じてるんだな。じゃあ環境を変えよう」って、もう一段冷静になれるようになりました。
これって、母親として知っているだけで、本当に楽になる知識だと思うんです。
「週1回25分」って、子供の脳にちょっと合ってないんですよね
これは、教室を立ち上げる前に、韓国まで見に行ったときに、衝撃を受けた話なんですが——。
韓国って、子供向けオンライン英会話が日本より約10年早く広まった国なんですね。「なんで韓国の子供は英語が伸びるんだろう」って、ずっと気になっていて、思い切って現地に行きました。
そこで見たレッスンの設計が、日本とまったく違ったんです。
「未就学児10分、小学生20分」が常識でした
向こうでは、未就学児のレッスンは10分、小学生以上は20分が一般的でした。
日本で標準の「1レッスン25分」って、もともと大人向けに設計された時間なんですよね。実は、未就学児や小学校低学年の集中力って、10〜15分が限界。25分続けようとすると、後半は先生がゲームで時間を埋めるしかなくなるんです。
子供は正直で、「これ無駄な時間だな」って本能で察知してしまう。それを毎週繰り返したら、レッスン自体が嫌いになるのは当然ですよね。
「週3〜5回」が当たり前でした
そしてもうひとつ、衝撃だったのが頻度です。
韓国では、子供が英語に触れる頻度が、週3〜5回が当たり前。「英語は毎日触れるもの」って感覚が、家庭文化として根付いていたんです。
日本だと「習い事だから週1回」が常識ですよね。私もそう思ってました。でも、人間の脳って、新しいことを学んでも24〜72時間で忘れていくんです。週1回25分のレッスンだと、次までに前回の記憶がほとんど消えてしまっている。
これじゃ、いくら続けても積み上がらないですよね。「うちの子が飽きっぽい」んじゃなくて、そもそも積み上がらない設計のレッスンを、頑張って続けていただけだったんです。
当教室で「最低週3回」を入会条件にしているのは、ビジネス都合じゃなくて、本当にここを譲りたくないからなんです。「週1回で英語が話せるようになります」って、私には言えないんです。同じ母親として、自信を持って勧められないことを言いたくないから。
「続かなかった」を、お子様のせいにしないでください
ここまで読んでくださって、もしかしたら「うちの子の問題じゃなかったのかも」って気づいた方もいるかもしれません。
そうなんです。お子様の集中力が足りなかったわけでも、英語に向いていなかったわけでもないんです。
続けにくい構造の中に、お子様が置かれていただけなんです。
教室を続けながら12年見てきて、確信していることがあります。それは、子供の英語学習に大切なのは才能じゃなくて、環境だってこと。先生との信頼関係、心が安心できる関わり方、子供の脳に合った時間と頻度、家庭との連携——これが揃えば、ほとんどのお子様は伸びていきます。
これは、特別な才能のあるご家庭の話じゃないんです。ごく普通のご家庭の保護者の方と一緒に、地道に積み上げて見てきた事実です。
教室で、一緒に学んでいきませんか
ここまで読んでくださったあなたに、ひとつだけ呼びかけさせてください。
もしこの話に「あ、それうちのことかも」「もう一度ちゃんと考えたいな」と少しでも感じてくださったなら、よかったら、当教室で一緒に学んでいきませんか。
私自身、いまも子育てをしている、一人の母親です。完璧な答えを持っているわけじゃありません。でも、フィリピンや韓国を歩いて、研究者の本を読みあさって、何百組ものご家庭と一緒に試行錯誤してきた12年があります。
その経験を、当教室の日本人スタッフ全員と、先生たちと、そしてあなたと——みんなで持ち寄って、お子様の英語の時間を一緒に育てていけたらと思っています。
「ほったらかしにされない」「親も一緒に関われる」「先生がコロコロ変わらない」——そんな教室を、私たちは12年かけて作ってきました。
ここまで読んでくださったあなたと、教室でお会いできる日を、心から楽しみにしています。
よくあるご質問
Q. 子供がやめたいと言ったら、すぐにやめさせるべきですか?
A. まずは「やめてもいいんだよ」という前提で話を聞いてあげてください。「やめさせない」前提だと、子供は本音を話せません。本音を聞いた上で、原因がスクール側にある(先生・教材・頻度・時間)のか、家庭側にあるのかを一緒に整理して、次の手を考えるのがおすすめです。
Q. 半年続けたのに伸びていない気がします。続けるべき?
A. 「伸びていない」と感じる原因が、構造(マッチング型・教育プランナー不在・頻度の少なさ)にあるなら、構造を変える選択を検討してください。同じスクールで頑張り続けるより、お子様に合った構造のところに変える方が、結果として早く伸びます。
Q. うちの子は人見知りで、新しい先生に慣れるのに時間がかかります
A. 人見知りのお子様こそ、担任制(同じ先生が継続)のスクールが圧倒的に向いています。マッチング型では、慣れる前にレッスンが終わってリセット、を繰り返してしまいます。当教室は担任制で、信頼関係が育つ時間を大切にしています。
Q. 最低週3回って、無理がありませんか?
A. 私も最初は「そんなに頻繁に?」と思いました。でも、レッスン時間が未就学児10分・小学生20分と短いので、毎日少しずつ英語に触れるリズムが自然に作れます。週合計でも60分程度。むしろ「週1回×25分」より、生活に組み込みやすいというご感想を多くいただきます。