去年の春、英会話をやめさせました。送迎と仕事の両立が限界だったのと、本人が「行きたくない」と言う朝が続いたのと、下の子の体調と——理由を挙げればいくつもあって、あのときは「今はやめるしかない」と思いました。
それから一年。子供はすっかり忘れたように、毎日を元気に過ごしています。英語の「え」の字も出てきません。困っている様子もない。それなのに、引きずっているのは、私だけ。
ママ友の子が、英語で先生と話している動画を見せてもらったとき。学校からの「英語の授業が始まります」というお知らせを読んだとき。本棚の隅に残ったままのテキストが目に入ったとき。そのたびに、胸の奥がきゅっとなります。あの時、もう少し粘っていれば。私がもう少し頑張れていれば。
もし今、同じような胸のざわつきを抱えているなら、先にこれだけお伝えさせてください。やめさせたという判断は、あの時のあなたの家の状況の中では、おそらく正しかった。そして、罪悪感が残っているのは、あなたが失敗したからではありません。
「続けさせられなかった」のではなく、「あの時の家を守った」
やめた判断を、今の落ち着いた状況から振り返ると、いくらでも「ああすればよかった」が出てきます。でも、判断したのは今のあなたではなく、あの時のあなたです。仕事と送迎と、朝の「行きたくない」と、家族の体調と。その全部を同時に抱えて、そのうえで「今はやめる」と決めた。
それは「続けさせられなかった」のではなく、あの時の家を、あなたが守ったということだと私は思います。英語だけを見れば途切れたかもしれない。でも家庭全体を見れば、崩れなかった。優先順位をつけたのは、弱さではなく親の仕事です。
それに、子供が今、英語のことを口にしないのは、傷ついているからではありません。子供は、親が思うよりずっと「今」を生きています。やめた日のことより、今日の給食や明日の遊びのほうが、頭の中では大きい。忘れたように見えるのは、あの判断が子供を壊さなかった証拠でもあります。
私自身、子供の英語を「今は無理」と手放した時期があります。そのときは、手放したという事実ばかりが残って、自分の判断を何度も責めました。でも時間が経って思うのは、あの時の私は、あの時の私にできる最善を選んでいた、ということです。あなたも同じだと、私は思います。
習い事をやめさせた罪悪感は、「思っている証拠」です
罪悪感というのは、どうでもいいことには湧きません。子供の将来を考えているから、英語を大事に思っているから、あの時の判断が今も気になる。つまり、残っている罪悪感は「失敗の証拠」ではなく、「この子のことを、ずっと思い続けている証拠」です。
「やめさせてしまって、もう手遅れでしょうか」というご相談を、これまで何度もいただいてきました。そのたびにお伝えしているのは、手遅れという言葉は、子供の英語にはあまり当てはまらない、ということです。一度やめた子が、間を置いてもう一度始めて、前より落ち着いて続けていく。そういう姿を、私は何度も見てきました。ブランクがあっても再開できる理由については、子供の英会話、ブランクからの再開|同じ母親として、「もう一度」を選ぶ勇気を応援しますに詳しく書いています。
そして、やめた経験を持つ親子には、初めての親子にはないものがあります。「何が続かなかったか」を、すでに知っていることです。送迎が限界だったのか、頻度が合わなかったのか、先生との相性だったのか、時期だったのか。それは失敗の記録ではなく、次に始めるときの設計図です。
今日からできる小さなこと——罪悪感を、紙に一行で
ひとつめは、やめた理由を紙に一行だけ書いてみることです。「送迎が続かなかった」「朝の行きたくないが続いた」——なんでもかまいません。頭の中でぐるぐる回っている間、罪悪感は形を持たないまま大きくなっていきます。紙に書いて一行になると、それは「自分の弱さ」ではなく「あの時の条件」に変わります。条件なら、次は変えられます。書けたら、その横に「次に始めるなら、ここを変える」と書き足してみてください。「送迎が続かなかった」なら「送迎のない形」、「朝が苦しかった」なら「夕方の時間」。一行が、条件から設計図に変わります。
ふたつめは、子供に聞くときの言葉を変えることです。「またやりたい?」と聞くと、子供は親の期待を感じ取って、「うん」か「いや」かの二択で答えるしかなくなります。代わりに、「英語って、今どう思ってる?」と聞いてみてください。「別に」でも「ちょっと忘れた」でも「あの先生、面白かった」でも、どれも大事な答えです。再開するかどうかを決めるための質問ではなく、今のこの子の中に英語がどう残っているかを知るための質問。そう思って、答えをそのまま受け取ってあげてください。
もし、いつかもう一度と思う日が来たら。そのときは、前と同じ形をもう一度選ばなくていい、ということだけ覚えておいてください。あい子供英会話には、他のスクールでうまくいかなかった経験のある親子が多く来てくれています。オンラインで送迎がなく、1回20分、週3回から週5回の中で頻度を選べる形にしているのは、「続かなかった理由」を一つずつなくしていった結果です。
やめさせた日のことを、今も思い出す。それはあなたが、あの日からずっと、この子のことを考え続けてきたということです。責める材料ではなく、その優しさをどうか自分に向けてあげてください。同じように「あの時」を抱えてきた母親として、一人で背負わないでほしいと思っています。罪悪感を設計図に変えて、いつかまた、一緒に始めませんか。