子供の英語の発音を直したい?|同じ母親として「発音信仰」を手放した話

公開日: 2026-08-03
子供の英語の発音を直したい?|同じ母親として「発音信仰」を手放した話
子供の英語の発音を直したい?|同じ母親として「発音信仰」を手放した話

SNSで流れてきた、同い年の子の英語動画。ネイティブみたいな発音でペラペラと話す姿に「すごいなあ」と思った次の瞬間、隣で宿題をしているわが子の顔が浮かぶ。うちの子の”apple”は、どうしても「アッポー」。この発音、直したほうがいいのかな——。

「子供の英語の発音を直したい」「何年も習っているのにネイティブみたいにならない」。そんなご相談を、これまで何度もいただいてきました。お気持ち、よく分かります。私も昔は、発音こそが英語力の証だと思い込んでいた母親でした。

でも今日は、同じ母親として、少し勇気のいることをお伝えしたいのです。その「発音信仰」、一度だけ疑ってみませんか。

子供の英語の発音を直したいと思ったら、まず知ってほしいこと

最初に整理したいのは、「通じる発音」と「ネイティブそっくりの発音」はまったく別物だということです。

英語を話す目的は、相手に伝わることです。そのために必要なのは、単語の強弱やリズムといった「通じるための土台」であって、ネイティブと聞き分けられないほどの完璧な音ではありません。国際的な場で活躍する日本人にも、日本語の訛りを残したまま堂々と話す方はたくさんいます。訛りは欠陥ではなく、その人が歩いてきた道の音なのです。

「発音がネイティブっぽいか」でわが子の英語を測ってしまうと、本当に育っているもの——聞いて理解する力、自分の言葉で文を組み立てる力——が見えなくなってしまいます。動画のあの子と比べて落ち込む必要はありません。切り取られた30秒の発音より、昨日より1語増えたわが子の文のほうが、ずっと確かな成長です。

世界の英語話者の大半は、非ネイティブです

もう一つ、知っておいてほしい事実があります。現在、英語を話す人は世界におよそ15億人いるとされますが、そのうちネイティブスピーカーは約4億人。実に4分の3ほどが、私たちと同じ「外国語として英語を使う人」なのです。

つまり、お子さんが大人になって英語で出会う相手は、インドの技術者かもしれないし、ベトナムの取引先かもしれない。それぞれのお国訛りの英語で、堂々と仕事をしている人たちです。その世界で問われるのは「ネイティブに聞こえるか」ではなく「自分の考えを伝えられるか」。発音の完璧さは、もう英語力のゴールではないのです。

私がこのことを本当に腹の底から理解したのは、カリキュラムを作るためにフィリピンに渡って、150回以上のトライアルレッスンを重ねたときでした。フィリピンの先生たちは、英語を外国語として学んで身につけた人たちです。それでも世界中の生徒に教え、通じ、信頼されている。「非ネイティブであること」は英語の弱点ではなく、学ぶ人の気持ちが分かるという強みにさえなる——その姿を、私は現地で何度も見ました。

直すことの害——子供が「話さなくなる」構造

そして、これがいちばんお伝えしたいことです。発音をその場で直すことには、はっきりとした副作用があります。

子供が勇気を出して英語を口にしたとき、返ってきた反応が「違うよ、appleはこう発音するの」だったら——子供の心に残るのは正しい音ではなく、「間違えたら指摘される」という記憶です。これが積み重なると、子供は間違えない方法、つまり「話さない」を選ぶようになります。発音を磨くつもりが、発話そのものを止めてしまうのです。

しかも、発音の指摘は他の間違いの指摘より傷が深くなりがちです。文法の間違いは「知らなかっただけ」で済みますが、発音は自分の口から出た「声そのもの」へのダメ出しに聞こえるからです。人前で発音を直された経験がきっかけで英語の口が重くなってしまったお子さんのご相談を、私は何度も受けてきました。この「直すことで話さなくなる」構造については、子供の英語の「間違い」を訂正してはいけない理由——エラーは成長のサインという記事で詳しく書いています。発音も、まったく同じです。

それに、そもそも発音は「直されて」育つものではありません。子供の発音は、正しい音を大量に聞いた「耳の貯金」が先にあって、口が後から追いついていくものです。今「アッポー」でも、耳に正しい音が貯まっていれば、ある日ふっと音が変わる瞬間が来ます。順番は、耳が先、口が後。今日の発音は通過点であって、完成形ではないのです。

家庭で今日からできる3つのこと

  • 直さずに、正しい音でさりげなく返す——「アッポー」と言ったら、「Oh, you like apples!」と自然な音で返してあげる。指摘ゼロで、正しい音のシャワーだけが残ります。
  • 「伝わったね」を数える——「先生、ちゃんと分かってくれたね」「今の、通じたね!」。発音の減点ではなく、伝わった加点を言葉にして貯金していきます。
  • 音の土台は「大量に聞くこと」に任せる——発音は口の練習より耳の貯金から育ちます。歌やアニメ、朗読音声で正しい音に触れる量を増やせば、音は後から自然に整っていきます。

「伝わった経験」を毎日積める場所を

あい子供英会話のレッスンで大切にしているのは、きれいな発音を仕込むことではなく、フルセンテンスで自分の言葉を伝え、「通じた!」という経験を積み重ねることです。毎月審査とトレーニングを受けたフィリピン人講師——まさに非ネイティブとして英語を身につけ、世界で通用する英語を話す先生たち——が、1回20分、週3回〜週5回のマンツーマンで、お子さんの言葉を否定せずに引き出します。テストもしません。英語を嫌いにさせないことが、結局いちばん発音も育てるからです。

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ネイティブそっくりの音より、伝えたい気持ちが先。同じ母親として、その順番を一緒に守っていきませんか。

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