子供の英語、始めるのが遅かったと後悔する親へ|同じ母親として、後悔を燃料にしない話

公開日: 2026-09-25
子供の英語、始めるのが遅かったと後悔する親へ

小学五年生の保護者会の帰り道。並んで歩いたお母さんが、何気なく言いました。「うちは幼稚園から英語やらせてて、今は英検の勉強してるの」。にこやかに聞きながら、頭の中では計算が始まっていました。幼稚園からなら、もう何年も。うちは、まだ何もしていない。

その夜、スマホで英語アプリを探して、翌日には書店で単語帳を買って、「今日から毎晩やろう」と子供に言い渡す。最初の数日は付き合ってくれた子供が、一週間もしないうちに「もういや」と泣き出す。それを見て、「なんでできないの」と声を荒げる自分がいて、その声に自分で驚く。気がつけば、親子で英語を前にして、どちらも疲れ切っています。

「もっと早く始めていれば」。その言葉が頭から離れないお母さんからのご相談を、これまで何度もいただいてきました。最初にお伝えしたいのは、始めるのが遅かったのではなく、始める時期が「今」だった、ということです。そして、後悔そのものは、悪いものではありません。扱い方を間違えると、子供に向かってしまうだけです。

後悔は、「今からでも」というエネルギーの裏返し

「遅かった」と思えるのは、「この子に英語を持たせてあげたい」という気持ちが、今、あなたの中にはっきりとあるからです。後悔の正体は、行き場のないエネルギーです。何かをしたい。でも過去には戻れない。だから、そのエネルギーは、いちばん近くにいる子供に向かいます。本当は、自分に向けたい言葉を、子供に言ってしまうのです。

ここが、いちばん注意してほしいところです。エネルギーがそのまま子供にぶつかると、英語は「遅れを取り戻す訓練」になります。毎晩の単語帳、できなかった分の積み残し、「あの子はもうできるのに」という言葉。子供にとって英語は、初めて出会った時点で「負けている科目」になってしまいます。そうなると、英語そのものより先に、「英語の時間」が嫌いになります。

私自身、焦りから子供に詰め込もうとして、泣かせてしまった夜があります。あの時、私が取り戻したかったのは、子供の遅れではなく、「早く動けなかった自分」だったのだと、あとから気づきました。

子供の英語を始めるのが遅かったという後悔と、本当の「差」の正体

幼稚園から始めた子と、小学五年生から始める子。その差は、たしかにあります。でも、その差の中身は、「経験してきた年数」だけではありません。現場で見ていて感じる本当の差は、英語に対する「安心感」です。間違えても大丈夫だと知っている。わからない時に、聞き返し方を知っている。英語の時間を、怖い時間だと思っていない。早く始めた子が持っているのは、単語の数より、この安心感のほうです。そしてそれは、机の上の勉強からではなく、「怒られなかった時間」の積み重ねから育ちます。

そして、安心感は、今からでも作れます。年数は取り戻せませんが、安心感は年数に比例しません。むしろ、焦って詰め込まれた子は、何年やっていても安心感が育ちません。逆に、高学年から始めても、「ここでは間違えていい」と感じられる場所で続けた子は、驚くほど早く英語の時間を自分のものにしていきます。

「英語は早ければ早いほどいい」という言葉が親をどう追い詰めるかについては、以前「英語は早ければ早いほどいい」を信じる親の落とし穴という記事にも書きました。早く始めること自体は、悪くありません。ただ、「早くなければ意味がない」は、事実ではないのです。高学年から始める子には、日本語で理解する力、自分で辞書を引く力、「なぜ」に納得して覚える力があります。それは小さい子にはない、この時期ならではの強みです。

今日からできる小さなこと——「取り戻す」を「積む」に言い換える

一つめは、家の中の言葉を、一つだけ変えることです。「遅れてるから、取り戻そう」を、「今日から、積んでいこう」に。子供に向けても、自分に向けても。「ママ、焦って詰め込もうとしてごめんね。遅れを取り戻すんじゃなくて、今日から一つずつ積んでいこう。今日の一個で、十分だよ」。取り戻す、はいつまでも終わりませんが、積む、は今日で一つ完了します。この違いが、子供の顔を変えます。

二つめは、始める頻度を欲張らないことです。焦っている時ほど、毎日一時間、と決めたくなります。でも、続くのは「短く、何度も」です。週に三回、一回に二十分。その代わり、終わったら「今日も積めたね」で締める。詰め込んだ一時間より、続いた二十分のほうが、半年後に大きな差になります。子供が「もっとやりたい」と言い出したら、その時に増やせばいい。増やすのは、いつでもできます。

あい子供英会話には、高学年や中学生から始めるお子さんが少なくありません。オンラインのマンツーマンで、一回20分、週3回から週5回の選択制。テストはしません。「遅れている」と感じている子に、点数で遅れを見せることはしたくないからです。完全な文で答える練習と多読を組み合わせて、読む力と話す力を一緒に育てます。日本人の教育プランナーが毎月、レッスンの外で進捗を分析して、ご家庭での声かけをお伝えしています。

「もっと早く始めていれば」。その言葉は、たぶんこれからも、ふとした時に顔を出します。でも、それが出てきた時に、「今日、一つ積めた」と言い返せる日々があれば、後悔は少しずつ、静かになっていきます。

始めるのが遅かったのではなく、今日が、この子の最初の日。その日を、焦らずに一緒に積んでいきませんか。「遅かったかな」と思う夜は、一人で抱えなくて大丈夫です。

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