
「幼稚園の頃は、あんなに英語の歌を歌っていたのに」
夏休みのある日、ふとお子さんに英語で話しかけてみたら、きょとんとした顔をされた。プリスクールの卒園式では堂々と英語で挨拶していたあの子が、今は”What’s your name?”にも日本語で返してくる——。小学校に上がってから英語を忘れていくお子さんを見て、胸がぎゅっとなる。あの時間とお金は何だったんだろう、と。
そういうご相談を、これまで本当にたくさんいただいてきました。私も同じ場面で立ち尽くしたことのある母親として、まず最初にお伝えさせてください。お子さんの努力が足りなかったわけでも、あなたの選択が間違っていたわけでもありません。言葉には「使わなければ薄れていく」という、誰にでも起こる仕組みがあるだけなのです。
子供が英語を忘れるのは自然なこと——「アトリション」という仕組み
使わなくなった言語が少しずつ失われていく現象を、言語学では「言語アトリション(言語喪失)」と呼びます。特別なことではなく、大人にも子供にも起こる、ごく普通の現象です。
そして残念ながら、子供は覚えるのが速いぶん、忘れるのも速いのです。子供の脳は「いま毎日使う情報」を優先して整理していきます。小学校に入って日本語だけの生活になれば、英語の回路は「当面使わないもの」として奥にしまわれていく。お子さんが怠けたのではなく、脳が正直に働いただけなのですね。
実は、何年も海外で暮らした帰国子女のお子さんでさえ、帰国後に英語を使わなければ驚くほど早く話せなくなります。このことは「帰国子女なのに英語ができない」現象から学ぶ継続の大切さという記事で詳しく書きましたが、裏を返せば「忘れたのは環境のせいであって、能力のせいではない」ということでもあります。
特に注意したいのが、卒園や進学のタイミングです。プリスクールを卒園して英語ゼロの生活になった、幼稚園の英語の時間がなくなった、習い事を整理した——生活から英語が消えた瞬間から、静かにアトリションは始まります。「小学校の英語の授業が始まるまで、いったんお休み」の数年間が、実はいちばん大きな分かれ道になるのです。
でも、完全には消えません——再学習が速いという希望
ここからが、今日いちばんお伝えしたいことです。
一度身につけた言葉は、忘れたように見えても、完全にはゼロに戻りません。
言語習得の研究では「セービング(節約)効果」と呼ばれる現象が繰り返し確認されています。一度学んだ言語を学び直すとき、人はまったくの初学者よりも速く思い出せる、というものです。幼い頃に触れた言語の音の記憶が、何年も使わなかった後でも残っていたという研究報告もあります。表面上は忘れて見えても、記憶の奥には「痕跡」がちゃんと残っているのです。
だから、いま英語を忘れかけているお子さんは「振り出しに戻った」のではありません。再開すれば、初めて学ぶ子よりずっと速く戻ってくる「貯金」を持っているのです。幼稚園時代の英語は、無駄になっていません。
実際、「もうすっかり忘れたと思っていたのに、レッスンを再開したら数週間で昔の歌を口ずさみ始めた」「聞き取りだけは最初から驚くほどできていた」というご報告を、これまで何度もいただいてきました。特に耳の記憶——英語の音を聞き分ける力は、思っている以上にしぶとく残っています。
「維持」に必要なのは、量より頻度です
では、これ以上薄れさせないためにはどうすればいいのか。鍵は、勉強量を増やすことではなく「接触を途切れさせないこと」です。
言葉は筋肉に似ています。週に一度まとめて長時間触れるより、毎日少しずつ触れるほうが、ずっと維持しやすい。「週1回90分」より「毎日10分」。脳に「英語はいま使うものだ」と思わせ続けることが、維持のいちばんの近道です。
逆に言えば、週1回の教室だけで維持が難しいのは、お子さんのせいでも教室のせいでもなく、頻度の構造の問題なのです。
そしてもう一つ、大事なことがあります。維持のための接触は、「頑張る勉強」である必要はありません。歌を聞く、アニメを見る、絵本を1冊めくる、先生と20分おしゃべりする——本人が楽しいと感じる接触なら、どんな形でも英語の回路は生き続けます。むしろ「忘れないように」とドリルを積み上げて英語を嫌いにさせてしまうことのほうが、アトリションよりずっと怖いのです。嫌いになった言葉には、子供は二度と自分から近づかなくなりますから。
家庭で今日からできる3つのこと
- 1日5分、耳だけでも英語に触れる——朝の支度中に英語の歌、寝る前に英語アニメを1本。「勉強」にしなくて大丈夫。音が日常に流れていることが大事です。
- 「前にできていたレベル」より半歩やさしいものに戻る——忘れかけている時期に難しい教材を出すと、自信を失わせてしまいます。昔大好きだった絵本や歌からで十分です。
- 「忘れちゃったの?」と言わない——本人がいちばん分かっています。代わりに「この歌、覚えてる?ママ好きだったなあ」と懐かしむ形で誘ってあげてください。思い出す入り口は「楽しかった記憶」です。
それでも薄れていくなら、環境を見直すサインかもしれません
家庭の工夫だけで毎日の接触を保つのは、正直、簡単ではありません。私たちあい子供英会話が週3回〜週5回のプランしかご用意していないのは、まさにこの「維持には頻度がすべて」という経験からです。1回20分(未就学児は10分もあります)のマンツーマンレッスンで、英語を特別なイベントではなく「毎日の当たり前」にする。フィリピン人の講師たちには毎月審査とトレーニングを行い、担任制ではなくても引き継ぎの仕組みで、どの先生でも前回の続きから始められるようにしています。
せっかく育った英語の芽を、ここで枯らせたくない——そう思われたら、無料体験で「久しぶりの英語」にお子さんがどんな顔をするか、見てみてください。公式LINEでは、お子さんの今の状態が分かる診断シートと言葉かけマニュアルもプレゼントしています。
忘れることは、終わりではありません。貯金はちゃんと残っています。それを引き出す毎日を、私たちと一緒に作っていきませんか。
