都会に住む友人から、写真つきのメッセージが届きました。駅前の英語教室の、ガラス張りの入り口。外国人の先生と笑っている子供。「週2で通ってるの。楽しいみたい」。私は「いいね、素敵」と返して、スマホを伏せました。
うちから一番近い英会話教室まで、車で1時間。そもそも「教室」と呼べるものが、この町には一つもない。窓の外には田んぼと山。子供は外で泥だらけになって遊んでいて、それは本当にいいことなのに、その日だけは、その景色が少し恨めしく見えました。
「この子は、住む場所で損をしている」。そう思うたび、胸が痛みます。ここに住むと決めたのは、私たち夫婦ですから。
同じ思いを抱えているお母さんに、先にお伝えしたいことがあります。住む場所を選んだことは、お子さんから何かを奪ったことではありません。そして、「損をしている」という前提そのものを、今日は一度、一緒に疑ってみたいのです。
地方に英会話教室がないことは、本当に「格差」でしょうか
「近くに英会話教室がないんです」というご相談を、これまで何度もいただいてきました。北の町からも、離島からも、山あいの村からも。そのお母さんたちの声に共通していたのは、「英語をやらせたい」という気持ちより、「うちの子だけ、選択肢がない」という悔しさでした。
その悔しさは、本物です。でも、その悔しさの土台にある「教室が近くにある=環境がいい」という前提は、実は少し古いのかもしれません。都会の教室に週2回通う子供が、一週間のうち英語を話している時間は、どのくらいでしょうか。行き帰りの時間を除けば、意外と短い。そして、通える範囲に教室があることと、その教室がその子に合っていることは、別の話です。
教室の数は、確かに都会のほうが多い。でもそれは、選択肢の数の話であって、お子さんが英語を身につけられるかどうかの話とは、そのまま同じではありません。
「環境」とは、教室の数ではなく、話す相手と時間があるか
子供の英語にとっての環境を、私はこう考えています。「英語を話す相手が、どのくらいの頻度で、その子の前にいるか」。それだけです。建物があるか、駅前にあるか、看板が立派か。どれも、子供の口から英語が出てくることとは関係がありません。
そして、この「相手と時間」に関しては、地方の家庭が都会の家庭と同じ条件に立てるようになった、というのが、ここ何年かで実際に起きたことです。オンラインなら、画面の向こうの先生は、住んでいる町がどこであっても、同じ先生です。同じ内容で、同じ頻度で、話せる。私はこれを、宣伝としてではなく、一つの事実として、地方のお母さんに知っておいてほしいと思っています。
通学型とオンラインの違いは、費用の面から以前オンライン英会話教室は本当にコスパがいい?通学型と比較して解説という記事で整理しました。地方の家庭にとっては、費用の前に「そもそも通える場所があるか」という話なので、今日はあの記事とは少し違う角度で書いています。
移動時間がない、という強み
ここから先は、地方に住んでいるからこそ持てる強みの話です。車で1時間の教室に週1回通うことを考えてみてください。往復2時間、レッスン1時間。親は運転で3時間を使い、子供は車の中で2時間を過ごす。それを、週に何回もはできません。そして、通うことそのものが負担になると、続けるかどうかの判断が、子供の気持ちより親の体力で決まってしまう。それは、都会でも地方でも同じです。
移動がないと、この計算がまるごと変わります。1回が20分なら、週3回でも週5回でも、生活の中に置けます。頻度を上げられるということは、忘れる前に次が来るということです。子供の英語は、1回の長さより、間隔の短さで伸びていく。地方の家庭は、通学の負担がない分、この「間隔」を都会の家庭より作りやすい。私はそう思っています。
今日からできる小さなこと
ひとつめは、言葉を一つ、言い換えてみること。「うちは通えない」ではなく「うちは送迎がない」。同じ状況を指しているのに、前者は欠けているものを、後者は持っているものを見ています。子供の前で「ここには何もないから」と言うのを、今日から一つだけ減らしてみてください。子供は、お母さんの言葉で、自分の住む町を好きにも嫌いにもなります。「ここだからできること」を口にできるお母さんの子は、自分の町を、欠けた場所ではなく出発点として見られるようになります。
ふたつめは、浮いた移動時間を、そのまま親子の時間にすること。「教室に通ってたら、今ごろまだ車の中だったね。その分、一緒に絵本読もうか」。レッスンのあとの10分を、英語の続きにしなくていい。その時間があること自体が、この町に住んでいるからこそ手に入ったものです。
環境について、一つだけ。あい子供英会話はオンライン専門なので、生徒さんがどの町に住んでいても、先生も、レッスンの内容も、引き継ぎの仕組みも、すべて同じです。どの先生でも前回の続きから始められるように、記録を共有しています。日本人の教育プランナーが毎月お伝えする家庭学習のアドバイスも、住んでいる場所で変わることはありません。それだけです。
田んぼと山の景色を、恨めしく見た日のことを、今でも覚えています。でも今は、あの景色の中で育つことと、英語を話せるようになることは、両立できると知っています。住む場所を、お子さんから何かを奪った理由にしないでください。ここに住んでいることに、少しだけ胸を張れる日を、私たちと一緒に増やしていきませんか。一人で抱えないでください。