公園のベンチで、ママ友と並んで座っていたときのこと。何気なく「うち、オンラインで英語やってるんだ」と話したら、返ってきた言葉。「えー、英語より、外で遊ばせるほうが大事じゃない? 今しかできないことってあるし」。
悪気はなかったと思います。むしろ、正しい気がした。子供が目の前で泥だらけになって走り回っているのを見ながら、「そうだよね」と笑って返した。でも、帰り道、自分の選択が急に薄っぺらいものに見えてきた。私は、この子の今を、削ってしまっているのだろうか——。
その夜、レッスンの予約画面を開いて、明日の分をひとつ、消した。消したあとも、すっきりはしなかった。そんなご相談を、これまで何度もいただいてきました。私自身にも、「英語なんて、あとでいいんじゃない?」という一言に、返す言葉が見つからなかった日があります。
まず、お伝えしたいことがあります。揺れたのは、あなたの選択が間違っていたからではありません。「英語か、それ以外か」という問いの立て方そのものが、親を揺らす形になっているのです。
「英語か、外遊びか」の二択に、私たちは弱い
「英語より大事なことがある」。この言葉は、反論しにくい形をしています。なぜなら、その通りだからです。外で遊ぶことも、絵本を読むことも、友達とけんかして仲直りすることも、ぼーっと空を見ることも、全部大事。誰も否定できません。
でも、よく見てください。この言葉には、隠れた前提があります。「英語をやると、それらが減る」という前提です。英語と外遊びが、同じ時間を奪い合っているという前提。それが本当なら、たしかに親は選ばなければなりません。
ところが、実際の一日を見ると、英語のレッスンは1回20分です。未就学のお子さんなら10分ということもあります。朝、起きてから寝るまでの中で、20分。外遊びと競合しているでしょうか。絵本と競合しているでしょうか。多くのご家庭で、実際に減っているのは、動画をなんとなく見ていた時間や、夕方のだらだらした時間です。
「英語か、それ以外か」の二択は、時間の話に見えて、実は時間の話ではないのです。
「英語より大事なこと」と言われて迷うとき、揺れているのは時間ではなく自信です
では、何が揺れているのか。私は、親の自信だと思っています。
子供に英語をさせている親は、どこかで「これでいいのかな」を抱えています。成果が見えにくい。周りに同じことをしている人が少ない。正解がない。そこに「英語より大事なことがあるでしょ」という言葉が飛んでくると、時間が足りないからではなく、「自分の判断に自信がなかったから」揺れる。予約をひとつ消したのは、20分が惜しかったからではなく、自分の選択を、一度手放してみたかったからではないでしょうか。
そして、こういう揺れは、たいてい夜に大きくなります。「本当に伸びるのかな」という不安と、「そもそもやる意味があるのかな」という迷いは、根っこが同じです。以前、「うちの子、本当に英語が伸びるのかな」と不安な夜のあなたへという記事を書きましたが、あの夜の不安と、今日の迷いは、兄弟のようなものだと思っています。どちらも、あなたが真剣だから起きることです。
ママ友の言葉が正しいかどうかは、実はどうでもいい。あなたが「英語も、外遊びも、両方大事」と思っているなら、両方を選んでいいのです。二択を迫っているのは、相手ではなく、あなたの中の自信のなさです。
今日からできる小さなこと
ひとつめは、一日の時間を、紙に書き出してみることです。起きた時間から寝た時間まで、ざっくりでいい。学校や園、ごはん、お風呂、外で遊んだ時間、絵本、動画、そして英語の20分。書いてみると、英語が本当に何かを奪っているのか、一目でわかります。奪っているなら、時間の置き場所を変えればいい。奪っていないなら、その紙を、揺れたときに見返してください。「英語のせいで外遊びが減った」という感覚は、書き出すと、たいてい消えます。
ふたつめは、「大事なことのリスト」に、英語を「入れる」のではなく「並べる」ことです。「外遊び、絵本、友達、家族の時間」というリストの中に、英語を無理やり押し込もうとすると、何かを押し出す感じがして、後ろめたくなる。そうではなく、横に並べる。「この子にとって大事なこと:外で遊ぶこと。絵本を読むこと。そして、毎日少しだけ英語に触れること」。並べてみると、どれも順位をつけるものではなく、ただ一緒にそこにあるものだと気づきます。ママ友に次に何か言われたら、心の中でこう返してみてください。「うん、両方大事にしてるよ」。
あい子供英会話がレッスンを1回20分の短い設計にしているのは、英語がお子さんの他の大事な時間を奪わないようにするためです。長い時間を週に一度ではなく、短い時間を毎日。外遊びからも、絵本からも、家族の時間からも、20分だけ借りて、明日また返す。そういう設計で、英語を「特別なイベント」ではなく、歯みがきと同じ「毎日の当たり前」にすることを目指しています。
予約をひとつ消した夜のあなたへ。消したことを、責めなくていいと思います。それは、この子の今を大事にしたいという気持ちの表れでした。でも、もし明日、もう一度予約を入れ直したくなったら、それも同じ気持ちからです。両方が、あなたの中にあっていい。
「英語より大事なこと」を、誰よりも知っているのは、毎日この子を見ているあなたです。だから、二択に答える必要はありません。両方を選んで、両方を大事にする母親を、一緒にやっていきませんか。