寝室の暗がりで、スマホの光だけが顔を照らしている。検索窓に打ち込むのは、「子供 英語 いつから」。出てきた記事を読み終えて、また打つ。「英会話 効果 ない」。「英語 やめどき」。読むたびに、違う答えが出てくる。早く始めた方がいいと言う人と、日本語が先だと言う人。続けるべきだと言う人と、嫌がるならやめろと言う人。
読めば読むほど、安心するどころか、不安が増えていく。それなのに、指が止まらない。もう一つだけ、もう一つだけと。気づけば日付が変わっていて、隣で寝ている子の寝息だけが、やけに大きく聞こえる。
——そして今夜も、このページを開いている。
この夜の話を、私はこれまで何度も伺ってきました。そして、私自身の話でもあります。だから、まず一つだけ。検索が止まらないのは、あなたが弱いからでも、決められない人だからでもありません。検索しているとき、あなたが本当に探しているのは、たぶん「正解」ではないからです。
検索が止まらないのは、「正解」ではなく「肯定」を探しているから
もし本当に正解が知りたいだけなら、最初の記事を読んだ時点で、指は止まっているはずです。それでも止まらないのは、読んだ記事のどれにも、「あなたの選択で合っています」と書いていなかったから。
私たちが夜中に探しているのは、情報ではなく、肯定です。「その子にその判断で、間違っていないよ」と、誰かに言ってほしい。でも、検索結果にいるのは、あなたのお子さんを知らない人ばかりです。知らない人が、あなたの選択を肯定することはできません。だから、いくら読んでも、探しているものは出てこない。出てこないから、もう一つ読む。
検索疲れの正体は、これだと思っています。答えがないことに疲れているのではなく、出てくるはずのないものを、探し続けていることに疲れている。
子育ての正解は、家庭ごとに違って、検索では見つかりません
厳しいことを言うようですが、子育ての正解は、検索では見つかりません。見つからないのは、あなたの探し方が悪いからではなく、正解が家庭の数だけあるからです。
何歳から始めるのがいいか。それは、そのお子さんが今、何を楽しんでいて、何を嫌がっていて、家にどれだけの時間があって、お母さんにどれだけの余裕があるかで、全部変わります。同じ「五歳」でも、正解は違う。同じ「嫌がっている」でも、やめた方がいい子と、やり方を変えた方がいい子がいる。その違いを知っているのは、検索エンジンではなく、毎日その子を見ているあなたです。
私自身、正解を外に探し続けた時期があります。本を読み、講演を聞き、誰かの成功談を真似して、うまくいかなくて、また探した。そのうち気づいたのは、私が探していた「正解」は、外にあるものではなく、目の前の子と自分の間で、少しずつ作っていくものだった、ということでした。英語を始める前に迷っている方へ、「英語やらせたいけど、まず何すればいいの?」迷えるママへの手紙という記事を書いたことがあります。あの記事も、正解ではなく、迷い方について書いたものでした。
今日からできる小さなこと——検索する前に、一行だけ書く
やってみてほしいことは、二つです。一つ目は、検索窓に打ち込む前に、「今、何が不安か」を一行だけ書くこと。スマホのメモでも、紙でもいいです。
たとえば、「子供 英語 いつから」と打ちたくなった夜に、本当の不安を書いてみると、こうなることがあります。「始めるのが遅かったんじゃないかと、責められる気がする」。あるいは、「ママ友の子と比べて、焦っている」。書いてみると、検索したかったのは英語の開始年齢ではなくて、自分の焦りの置き場所だった、とわかることがあります。不安の名前がわかると、それだけで、検索の手が少し緩みます。
二つ目は、検索は一日一回、寝る前は開かないと決めること。夜中の検索は、昼間の検索と別物です。疲れた頭は、不安な情報ほど強く受け取ります。同じ記事でも、昼に読めば「ふうん」で済むものが、夜に読むと「うちはもう手遅れなんじゃないか」になる。だから、調べるなら、明るいうちに一回だけ。夜は、調べる時間ではなく、目の前の寝息を聞く時間にしてください。
そして、それでも開いてしまった夜のために、自分にかける言葉を一つ。「今夜わからなくても、明日この子は元気に起きてくる」。正解が出なくても、明日は来ます。そして明日の子供を見れば、今夜の検索で見つからなかったヒントが、たいてい一つは転がっています。
環境の話を一段落だけ。あい子供英会話は、正解を教える場所ではないと思っています。日本人の教育プランナーが毎月、レッスンの外で先生と一緒にお子さんの様子を見て、ご家庭にお伝えしていますが、それは「こうすべき」を言い渡すためではなく、検索結果には出てこない「このお子さんの今」を、一緒に眺めるためです。正解を探す相手ではなく、一緒に迷ってくれる人が近くにいる。そういう場所でありたいと、私は思ってきました。
このページも、たぶん検索の途中で開かれたのでしょう。ここにも正解は書いていません。でも、あなたが探していたのが肯定なら、それはここにあります。あなたの迷いは、その子を真剣に見ている人にしか生まれない迷いです。
今夜はもう、検索を閉じませんか。閉じた先で一人になるのではなく、同じように夜中にスマホを握りしめてきた母親が、ここにいます。検索窓に打ち込む代わりに、一緒に考えていきませんか。わからないまま、この子と一緒に育っていく道を。