子供の成長を待てない自分が嫌になる夜|同じ母親として、「待つ」が一番難しかった話

公開日: 2026-09-27
子供の成長を待てない自分が嫌になる夜

「まだ?」「もっとできるでしょ」。夕食の後の、ほんの十分の英語の時間。口から出るのは、そんな言葉ばかりでした。頭では、わかっているのです。子供の成長はゆっくりで、急かしても速くならないと。何冊もの本に書いてあるし、自分でも誰かにそう言ったことすらある。それなのに、体が先に動いてしまう。ため息が先に出てしまう。

子供が寝たあと、片付けをしながら、今日の自分の声を思い出す。あの言い方はなかった。あの顔はなかった。——待てない自分に、一番がっかりしているのは、自分自身。

この気持ちを、ご相談の中で何度も聞いてきました。そして私自身、「待つ」が子育てで一番難しいことだと、ずっと思ってきました。だから最初にお伝えしたいのです。待てないのは、あなたの性格や器の問題ではありません。待てないのには、ちゃんと理由があります。

待てないのは、「いつまで待てばいいか」が見えないから

想像してみてください。駅のホームで電車を待つとき、「あと三分」と表示されていれば、私たちは静かに待てます。でも、表示が消えて、いつ来るかわからないまま立たされたら。三分でも、そわそわして、時計を何度も見て、駅員さんに聞きたくなります。

子供の英語も、同じだと思うのです。「いつか話せるようになる」とは言われるけれど、その「いつか」がいつなのか、誰も教えてくれない。半年後なのか、三年後なのか。今やっていることが、本当に前に進んでいるのか。それが見えないまま毎日を積み重ねるのは、時刻表のないホームに立ち続けるのと同じです。待てなくて当然です。

だから私は、待てない自分を責めるより先に、「見通し」を手に入れることを勧めています。見通しがあれば、人は待てる。これは根性の問題ではなく、情報の問題です。見通しを持たずに待つのは、暗闇の中で目を開け続けているようなもので、目を閉じるよりずっと疲れます。

子供の成長は遅いけれど、「順番」があります

では、子供の英語の見通しとは何か。それは、変化には順番がある、ということです。

まず、聞く。意味はわからなくても、音として耳に入る時期。次に、真似る。先生の言った音を、意味も考えずに口で真似してみる時期。それから、単語。「apple」「dog」と、物と音がつながる時期。そして最後に、文。「I like apples.」と、自分の気持ちを文にして言える時期。

この順番は、私が長年見てきたお子さんたちのほとんどで、飛ばされることがありませんでした。そしてお母さんが「まだ?」と言いたくなるのは、たいてい、お子さんが「聞く」や「真似る」の途中にいるときです。目に見える成果が出るのは「単語」や「文」の段階からですから、その手前では、親の目には「何も変わっていない」ように映ります。でも、変わっていないのではなく、順番の前半を歩いている最中なのです。ゼロから始めたお子さんの変化の流れは、「英語ゼロから3ヶ月」で見える子供の変化|現場で何度も見てきた成長段階に詳しく書きました。

私自身、「聞く」の段階にいる子に、「文」の段階の成果を求めて急かしていた夜があります。それは、まだ歩けない赤ちゃんに「走って」と言っているようなものでした。順番を知ってからは、「今、この子はどこにいるんだろう」と考える時間の方が、「まだ?」と言う時間より長くなりました。

今日からできる小さなこと——見る段階を一つに絞る

やってみてほしいことは、一つだけです。「今、うちの子はどの段階にいるか」を、一つ決めてください。聞く、真似る、単語、文。そのどれかです。そして、その段階の変化だけを見る、と決める。決めるのは、お子さんの普段の様子を思い浮かべながらで大丈夫です。迷ったら、一つ手前の段階にしておいてください。

たとえば「真似る」の段階なら、見るのは「先生の言葉を口で真似したか」だけ。単語の意味を覚えたかどうかは、今は見ない。文で言えたかどうかは、今は見ない。そう決めると、「まだ?」の代わりに、こんな言葉が出てきます。

「今の、先生の真似できたね。ママ、聞いてたよ」

見るところを一つに絞ると、見える変化が増えます。逆に全部を見ようとすると、何も変わっていないように見える。子供は同じなのに、親の目の置き方で、見えるものが変わるのです。

そして、それでも急かしてしまった日は——あります、きっと。そんな日は、寝る前に自分に、一言だけ言ってあげてください。「今日も、待とうとした」。待てたかどうかではなく、待とうとしたかどうか。待とうとして、それでも急かしてしまったのは、待つ気がない人には起きないことです。

環境の話を、一段落だけ。あい子供英会話では、日本人の教育プランナーが毎月、レッスンの外で先生と一緒にお子さんの進捗を分析し、ご家庭にお伝えしています。それは、成果を報告するためというより、お母さんが「今この子はここにいて、次はここへ向かう」という見通しを持てるようにするためです。見通しがあれば、待てる。私たちがこの仕組みを大事にしているのは、待てない夜を知っているからです。

「待つ」は、何もしないことではありませんでした。今どこにいるかを知って、次がどこかを知って、その間の変化を見つけること。それは、じっと耐えることより、ずっと能動的な作業です。

待てない自分に、今夜もがっかりしているあなたへ。その気持ちは、お子さんの成長を、誰よりも近くで見たいと願っている人にしか生まれません。一人で耐える待ち時間ではなく、一緒に見通しを持つ待ち時間に、変えていきませんか。同じように「まだ?」を飲み込んできた母親として、あなたと一緒に待っていけたらと思います。

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