2025-06-11
――10年前の涙が、私に教えてくれた大切なこと
10年前。
今も心に焼きついて離れない出来事があります。
私がまだオンライン英会話の教室を立ち上げたばかりの頃、あるお母さんが、迷いながらも真剣な表情で話してくれました。
「うちの子は、こういう性格なんです。だから先生には、必ず3回繰り返して教えてほしいんです」
「ページをめくるときは、必ず1回読んでからにしてください」
その言葉に、私はうなずきながらも胸がぎゅっと締めつけられました。
そのお気持ちは、痛いほどよく分かるからです。
自分の子どもを一番よく知っているのは親です。
「こうしてあげた方が、うまくいくんじゃないか」
「嫌な思いをしないように、あらかじめ整えておきたい」
その気持ち、私にも覚えがあります。
先生も、それに応えてくれました。
3回、4回と丁寧に繰り返し、細かい配慮をしながらレッスンを進めてくれたのです。
でも――
ある日、その子が泣いてしまったのです。
静かな画面の向こうで、ぽろぽろと涙をこぼしながら。
驚いた先生が、私に相談に来て、こう言いました。
「お母様のご要望は分かります。でも…私は今、この子が何を感じているのか分からなくなってしまったんです」
私は、言葉を失いました。
そのとき、私ははじめて気づいたのです。
先生は、目の前の子どもの状態を見て、その瞬間に必要なことを感じ取るプロでした。
「今日は集中できていないから、追い込まずに進めた方がいい」
「今は聞き流してもいい。ここは無理に繰り返さなくてもいい」
そんな判断が、先生の中に確かにあったのです。
一方で、親は“今”をなんとかしたくて、「こうすればきっとうまくいく」という“正解”を探してしまう。
その視点のズレが、
先生の迷いになり、
子どもの戸惑いになり、
やがて、涙となって現れてしまった。
あの日を境に、私は決めました。
レッスンの主導権は、必ず先生に持ってもらう。
もちろん、不安なことがあったら、どうか私に話してください。
「なぜ今こういう教え方なの?」
「うちの子には合っていない気がする」
そんなお気持ちも、全部受け止めます。
そして私が、先生の意図をお伝えし、必要であれば提案や改善も一緒に考えていきます。
私たちは、チームでお子さんを育てていきたいと思っています。
もちろん、最初は先生とのズレを感じることもあるでしょう。
「うちの子、こんなときは泣いてしまうんです」
「絵を描くのが本当に苦手で…」
そんな個別のお話も、どうぞ遠慮なくざっくばらんに話してください。
取捨選択は、私と現地コーディネーターが(元指導者)します。
どんなお子さんも、みんな違っていい。
親としての思いを話せる場所があることは、子どもにとっても、先生にとっても、大きな安心につながると思います。
あの日の涙は、今も私の中で問いかけ続けています。
「あなたは、誰のために“指導の形”を変えようとしているの?」
親の願いも、先生の戸惑いも、子どもの涙も――
すべてが、私の教室の原点です。
どうか、先生を信じて。
どうか、お子さんの“続けたい”という気持ちを育てるために、一緒に寄り添っていきましょう。
私たちは、今日の小さな一歩が、やがて「英語が好き!」という未来につながると信じて、毎日向き合っています。
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